群馬県と新潟県の境に位置する谷川岳。日本海側と太平洋側の分水嶺に位置します。3月も下旬になるとさすがに厳冬期の厳しさも収まり、油断厳禁ではありますが難易度も徐々に下がります。
とはいえ谷川岳登山指導センターによると雪崩や踏み抜きが多発しており、天候の急変による道迷いも発生しているという情報も。まだまだ冬山なので気の緩みは厳禁です。
谷川岳には2年ぶりの登山となりました。
谷川岳天神尾コース
谷川岳はロープウェイを使うことで標高1300メートル付近からスタートとなります。公共交通機関を使う身としては、ロープウェイまで水上駅から冬でもバスが通っているのはうれしいです。
ロープウェイを降りてから左手にゲレンデを見ながら、天神尾根を進みます。熊穴沢避難小屋を経由して肩の小屋、トマの耳を経てオキの耳でUターンのピストンコース。冬の谷川岳の最もポピュラーなコースです。
前泊はホテル湯の陣
前日は湯檜曽にあるホテル湯の陣に宿泊しました。設備は年代を感じさせますが、8000円台から泊まれて部屋は十分すぎるほど広く、食事はバイキング形式で食べ放題、飲み放題です。アルコールの取り過ぎに注意です。
天気はほぼ曇りだが暑かった
この日の天気はおおむね曇りでときどき晴れ間が出る程度。ですが動き出すと体感的にはとても暑く感じ、行動中ずっと額には汗が滲んでいる状態でした。今までで一番暑い雪山登山となりました。
天神平のロープウェイ駅を降りると目の前はゲレンデです。平日だからかスキーやスノボーを楽しんでいる人はまばら。登山者もあまりいませんでした。
早速アイゼンを装着し出発。日焼け止めをしっかり塗っておかないと、こんな曇り空でも空と雪からの反射の両方から紫外線を浴びてしまいます。サングラスも必須。
積雪期はコースの途中にトイレがないのでロープウェイ駅で済ませておきましょう。
始めのうちはグローブはファイントラックのパワーメッシュグローブのみ装着。額の汗をぬぐってもすぐに乾いた状態に。素晴らしい!
ロープウェイ駅からすぐの登り始めが中々の角度でさっそく背中は汗だくに。久しぶりの登山なので慣らし運転が欲しいところですが、容赦してくれません。
この日の状態ではスノーシューやワカンは必要なさそうでした。
稜線に出ると左右に視界が開けます。この日は雲が取れることはなさそうな様子。ですが相変わらず暑い。
この日はドライレイヤーの上に汗を吸収するベースレイヤー、その上にソフトシェルを着ていたのですが、ソフトシェルを脱いでしまうと寒いという中途半端な気象条件でした。このレイヤリングだとトマの耳の手前でやっとちょうど良くなった感じ。
標高が上がり気温が下がったためパワーメッシュグローブの上にテムレスを装着。テムレスは内側がボア仕様なので汗をかいてしまいがちなのですが、やはり汗冷えを感じず快適でした。厳冬期の場合はどうなのか、検証の必要があります。
雪山登山やバックカントリー用のグローブとしてテムレスを利用している人が増えているそうです。元々は寒い屋外や水仕事のためのいわば作業用手袋として開発されました。ですがその性能と使い勝手の良さから冬のアウトドアシーンで徐々に注目を集め、今や[…]
少しガスってしまうと視界がとたんに視界がきかなくなります。このことを肝に銘じなくてはいけません。熊穴沢避難小屋はいつの間にか通り過ぎていました。今回は大事には至りませんが、見落としはトラブルの元になりかねないのでちょっと反省です。
とはいえこの日はすぐにガスも晴れ、気付いたら天神尾根と西黒尾根の分岐に到着。道標を見るとつい近寄ってしまいます。
いつか泊まってみたい肩の小屋。
肩の小屋を過ぎるとすぐにトマの耳に到着。
雪が剥がれ落ちているのがわかります。
トマの耳からオキの耳の間には雪の合間から岩が覗いている箇所も。アイゼンの爪が丸まるんだよなと思いつつ、躓かないよう注意して進みます。
雪庇の端には近づかない、というより怖くて近づけない。
オキの耳まで来ました。コースタイムからも積雪期はここでUターンする登山者が多いです。行動食のチョコレートのみで空腹も感じていなかったので、軽い休憩のみで引き返しました。
天気の良い週末だったらコロナ禍とはいえもう少し登山者の数は多いと思いますが、この日は数えるほど。
トマの耳から少し下ると温度が上がるのを感じます。空はこんなに曇が出ていましたが背中と額には常に汗。無雪期には必ず携帯する薄手の速乾タオルを持ってくるべきでした。
決してオーバーペースで登っていたわけではないのですが、暑がりとはいえ雪山でここまで汗をかいたのは初めてです。良い教訓になりました。
天神尾根は決して難易度の高いコースではないのですが、危険個所がないわけではありません。このような場所では強風であったり吹雪でホワイトアウトになると簡単に滑落してしまいます。
人気ルートといえども天候次第では危険な状況になることを、登山の心得として常に頭の片隅に置いて行動する必要があります。
PeakFinderを使ってみた
今回山座同定アプリのPeakFinderを初めて使ってみました。くわしい使い方をまだ把握しておらず、ただ撮っただけなのですが遠くに見える山の名前がわかるのは面白く感じました。中央の御嶽山は見えるというレベルではないですね。
赤岳や蓼科山も見えます。
PeakFinder AR
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