雲ノ平は北アルプスの最深部に位置し、日本最後の秘境なんて呼ばれたりします。個人的には最後の秘境といわれると、アプローチの困難さから何となく南アルプスの南部あたりにありそうなイメージがするのですが、雲ノ平も日帰り登山は現実的ではありません。
そんな雲ノ平に富山県側の折立から入り、新穂高温泉へ抜けるルートを縦走しました。季節は8月の下旬。3日間のうち晴れたのは初日の午前中と3日目の午後のみで天候には恵まれず残念だったのですが、以前から泊まってみたかった薬師沢小屋と三俣山荘に宿泊できました。
雲ノ平への主なルート
最後の秘境と言われるだけあって雲ノ平へのルートはロングコースばかりです。
・新穂高温泉から双六小屋、三俣山荘経由
・裏銀座コース
・読売新道コース
・槍ヶ岳方面から西鎌尾根
前日は富山駅周辺で前泊
私は公共交通機関を利用するので、登山前日は富山駅から徒歩圏内のホテルに宿泊。駅前には好日山荘もあります。
富山市内には市電が走っており中にはレトロな車両も走っていました。
また駅から5分ほど歩くといかにも昭和な感じのボーリング場がありました。
折立から薬師沢小屋へ
折立行きのバスは富山駅前のロータリーから出ています。富山地方鉄道による富山駅から折立直通のバスは7月中旬から9月下旬の季節運行になっています。電話ネットでの予約制で満席になり次第締め切るので、週末などは早めに手配したほうが良さそうですね。本数は6:10発の一日一便のみ。折立には8:10着予定ですが途中でトイレ休憩があります。
雲ノ平を経て三俣山荘へ
雲ノ平山荘まできました。ここも宿泊してみたい山小屋のひとつです。
しばらく進むとテント場が見えてきました。小屋からは結構離れた場所にあります。
祖父岳の分岐地点に着きましたが、雨が降りやまないので祖父岳、鷲羽岳は諦めて三俣山荘への最短ルートを選択しました。早く乾いた服に着替えたい一心です。
黒部川源流をこのロープを頼りに渡ります。絶対に落ちたくありません。
13時半前に三俣山荘に着きました。雨が降っていたからか小屋の中にはすでに多くの登山者が到着していました。三俣山荘はシャツやタオルを乾かす乾燥室の他にレインウェアを干すスペースがあります。部屋のタイプは薬師沢小屋と同じくカイコ部屋でした。トイレの個室は清潔でしたがすべて和式です。有料ですがスマホの充電サービスもあります。
三俣山荘の食堂は三方から光が入る作りになっていてとても明るいです。コーヒーはサイフォンで入れてくれます。アルコール類はビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーとひと通り揃っています。ここの食堂の居心地は最高です。
夕食後の食堂ではスライド上映を見ながらビールや焼酎、ウイスキー。
朝食はサルシッチャというソーセージの一種。とても味が濃いので1本でも食べ応えがあります。他に卵焼き、ポテトサラダ、梅干しなど。
双六小屋を経て新穂高温泉へ下山
3日目は6時半に出発。多くの登山者はすでに小屋を後にしていました。空は雲で覆われ相変わらず小雨が降っていました。
双六岳に登ってもこの天候では展望は望めそうにないので迷わず巻道を選びます。今回3日間の山行でピークハントはなし。後悔もなし。
朝の時点では昨日から天気は回復していませんでした。このあたりはクマの出没情報もあり、ちょっと緊張しながらガスの中を進みます。
最近は多くの山で熊に遭遇した話しを聞くので、気休めとお守り代わりに熊撃退スプレーを忍ばせておいたほうが良いかもしれません。実際に熊に出会ったらどうしようもないかもしれませんが、何もないよりマシかも。
巻道分岐に着きました。双六小屋までもう少し。
双六小屋に着いた時点で雨が止みました。少しずつ天候も回復気味でもうこれ以降は雨が降りそうになかったので、ここで上下ともレインウェアを脱ぎました。
弓折乗越に向かっている最中にだんだんとガスが晴れてきました。
弓折乗越から下っていくと、下の方に鏡平小屋にある池が見えてきます。
登山も最後になり槍ヶ岳の稜線が顔を覗かせてくれました。できれば昨日雲ノ平にいるときに晴れてほしかったぞ。
鏡平小屋に到着。前回ここを通過したときはかき氷を食べましたが、今回は立ち止まらず先を急ぎました。宿泊したこともありますが、とても良い山小屋です。
大キレットも見えました。槍ヶ岳から穂高へと続く稜線の眺望は鏡平小屋のウリでもあります。
鏡平小屋から更に下り続けます。林道まで石の上を歩いて降りていきますが、登山の終盤で足に疲労が蓄積していることもあり、なかなかのツラさです。わさび平小屋では野菜が冷やされていたのでトマトを購入。
ようやく新穂高の登山口に到着。
松本駅に行くのに平湯でバスを乗り換えますが、時間がたっぷりあったので平湯の森で入浴した後ビールでひと息。