フリースかダウンどちら

登山の防寒着はフリースとダウンどちらが良いのか

登山の防寒着として代表的なウェアのフリースとダウンジャケット。ともに肌寒い季節から真冬まで頼りになるありがたい存在ですが、登山で使用するならどちらが良いのでしょうか?

経験が浅いうちは迷いますし、どっちでもいいのかなと思うかもしれませんね。

正解は状況によって使い分けるです。登山の際にはなるべく荷物は減らしたいものです。なのでどちらか使い勝手の良い方だけを持って行きたいと思うかもしれませんが、得意とするシーンが異なるので単純にどちらが良いとはいえません。

フリースとダウンそれぞれの特徴を把握

フリースもダウンも一般的にミドルレイヤーに分類される保温着ですがそれぞれの特徴はかなり異なります。それぞれの差異を理解できれば適切な使い分けが可能です。はっきりいって全然難しくありません。

あたりまえですが登山において寒さは時には命に関わるほど危険な要素です。フリースもダウンも寒さに対して適切なシーンで使用すれば快適さをもたらしてくれます。逆に謝ったシーンで使用してしまうと、こんなはずじゃなかったといった結果になることも。

冬だけの話ではありません。普段過ごしている街中では汗ばむ頃でも山では季節が全く違うことも珍しくないのです。

フリースの特徴

アクティブインサレーションの登場により存在感がちょっとだけ薄れてしまったフリースですが、保温着としてまだまだ多くの登山者に愛用されています。

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フリースはPETと呼ばれるポリエステルの一種から作られています。生地の表面が起毛しており空気を保持できるため高い保温性があります。

また通気性があるため行動中に発する熱を放出してくれます。ストレッチ性も優れており登山中の行動を妨げず動きやすいのも特徴です。

フリース

デメリットとしては汗を放出してくれる通気性のトレードオフとして風に弱い点です。なので風が強い場合は防風性のあるアウターと組み合わせる必要があります。逆に風がなく気温が低すぎなければアウターとしての役割も可能です。なかには防風性を備えたタイプもあります。

またコンパクト性はないのでザックの中に収納する際は嵩張ってしまい、スペースを多く必要とするのもデメリットです。

登山のウェア全般に言えることですが、1枚のウェアにいくつもの機能を求めてしまうのではなくそれぞれに特化した性能を活かした使い方を心掛けましょう。フリースの場合は防風性は求めず、主に行動中の保温力と汗の拡散です。

・起毛仕様による保温性
・動きやすいストレッチ性
・通気性による汗の拡散
・風に弱い
・コンパクト性はない
厚手のフリースを着た場合、汗の量によっては拡散が追い付かず、内側が濡れた状態になります。厳冬期の場合はそれが結露することもあり注意が必要です。登山においては薄手から中厚手までのタイプが適しており、厚手のフリースは持て余し気味になります。
これらの特徴をふまえるとフリースは行動中に使用するのに適したウェアといえます。勿論休憩中など行動していないときにも使用できます。
フリースを選ぶ際は防寒着といってもハイクアップ中の体温調節との兼ね合いを念頭に置く必要があります

ダウンの特徴

ダウンジャケットはアヒルやガチョウなど水鳥の羽毛を使用した防寒着です。ダウンの間に空気を溜め込むことで生じる断熱作用により優れた保温性を持っているのが特長です。フリースと比べ保温性ではダウンに軍配が上がります。

ですが保温性がありすぎるため行動中に着用すると汗を掻きすぎてしまいます。ダウンには通気性がないため汗を発散せず蒸れの原因になります。更にダウンは濡れると保温力が無くなるため汗ムレは避けたいところです。当然雨に濡れるのは論外です。しかもなかなか乾きません。

ダウンジャケット

フリースに比べコンパクト性に優れているのもメリットです。風にも強いのですが、ハイクアップ中に防風性を担うのはダウンではなく、ウインドシェルやハードシェルといったアウターになります。

羽毛ではなく化繊タイプもあります。化繊タイプの場合羽毛に比べて保温性やコンパクト性に劣りますが、濡れに強いというメリットがあります。両方持って行く必要はなく、どちらか好みの方を選びましょう。

・保温力は抜群すぎて行動中の着用には不向き
・フリースに比べて軽く、コンパクト
・防風性がある
・濡れると保温力を失う

ダウンは基本的には休憩中やテントなどでの停滞中に使用します。フリースが行動中、停滞中ともに使用可能なのに対してダウンは行動中の使用には向いていません。擦れに対する耐久性も乏しいため、行動中に着用すると岩や枝に引っかけて破ける恐れがあります。

休憩中に素早く着るためにザックの取り出しやすい場所に収納しましょう

フリースとダウンは両方持って行く

フリースとダウンの好きな方を選ぶのではなく、状況によって使い分けるのがポイント。なのでどちらか片方だけ持って行くよりも両方持って行った方が様々なシチュエーションに対応できます。寒さが厳しい季節なら尚更です。

フリースやダウンに限らず体温調整のための着脱は面倒くさがらずに行いましょう。たとえ真冬でも晴れて気温がそれなりに高く風も無ければミドルレイヤーもアウターもザックに仕舞いベースレイヤーを腕まくりして登ることだってあります。

しかしそんな真冬の好天の日でも車の中に防寒着を置いてしまうことはNGです。天気が急変したときに備えて防寒着は絶対持っていくこと。冬だけでなく春や秋でも同様です。

おすすめのフリース

パタゴニアのR1テックフェイスは保温性はそこそこに透湿性に重点を置いた薄手のフリースです。汗掻きな人向けですね。テックフェイスシリーズは防風加工及び撥水加工が施してあり一般的なフリースよりも風や小雨にも耐える仕様となっています。また擦れにも強いのが特長。真冬よりも春秋におすすめです。

冬の気温が下がるシチュエーションなら中厚手のR2テックフェイスが適しています。熱が籠りにくいとはいえ、こちらはR1と比べて厚みがあるので流石に同程度の透湿性は望めませんが、風に強いのは厳冬期にはありがたい機能です。

おすすめのダウン

分厚いダウンを選んでしまうと場合によっては持て余してしまうかもしれません。雪山であれば暖かさを優先させてフィルパワーの高いタイプを選ぶのもアリです。

首周りの保温を重視しているならフード付きが便利です。ただしフード付きのタイプはハードシェルを重ね着するとゴワつきます。マフラーやニット帽も同時に使いにくくなりますので、そのあたりの兼ね合いを考えながらフードの有り無しを選びましょう。

ダウンは軽量といってもできれば少しでも軽い方が助かります。ザ・ノース・フェイスのサンダージャケットは中綿がダウンと化繊のミックス仕様になっているため濡れに強く、薄手タイプですが保温力に優れているのが特徴です。とはいえインナーダウンよりは厚めです。真冬というより春秋向けですね。

軽くて暖かいタイプのダウンは値段も高価ですが、コスパがよいのに高性能なのがモンベルのアルパインダウンパーカーです。

保温対策と汗冷え対策を両立させるために

登山において最も注意すべきことのひとつに汗冷えによる低体温症があります。せっかく寒さに備えて保温着を用意しても汗を掻きすぎて体を冷やしてしまっては意味がありません。

よってダウンは基本的には行動中に用いず、フリースで保温を確保すべきなのですがそれでも汗は掻きます。たとえ真冬の気温が低い状況でもハイクアップによる体温上昇は避けられません。

そこでベースレイヤーの下にドライレイヤーを着用すると汗冷えのリスクをかなり回避できます。

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