今や登山にはスマホは欠かせない装備です。写真を撮ったりログを残したりと登山中にスマホを使う機会は多くありますが、最も重要な利用法は遭難時の連絡手段と道迷いを起こさないためのGPS機能による現在地確認です。
そんな便利なスマホですがバッテリーが切れてしまったら、ただの重りでしかありません。しかも万が一遭難した際にバッテリー切れの状態になってしまったら、救助される確率は確実に下がります。
ココヘリという心強い捜索サービスもありますが、スマホがバッテリー切れになってしまうと心理的にも不安が大きくなりパニックを起こしかねません。
登山に行くならモバイルバッテリーは絶対に持って行きましょう。
登山にモバイルバッテリーはもはや必携アイテム
スマホの地図アプリに頼ってばかりだと読図能力はなかなか育たないのは事実です。熟練の登山者ならGPSに頼らず紙の地図を頼りにしろという意見もあるかもしれませんが、GPS機能のおかげでルートロスによる遭難のリスクは大きく下がりました。
登山で最も重要な目標は無事に帰ることです。そのためには紙の地図を読む力も大切ですが、一瞬で現在地が把握できる地図アプリを利用しない手はありません。

たとえ日帰り登山であっても道に迷って遭難する可能性だってあります。まる一日スマホのバッテリーが持つから大丈夫というという考えは完全に間違っています。
荷物の軽量化は登山の快適さを上げてくれますが、モバイルバッテリーは必要な重さです。10000mAhだと200gくらいあるので軽量化を邪魔された気分になるかもしれませんが諦めてそっとザックに忍ばせましょう。
日帰り登山と数日間の縦走などでは必要なモバイルバッテリーの容量は違ってきます。
当然軽いのに越したことはありませんが、自分の行く登山で必要なバッテリーの容量を考慮した上で持って行くモバイルバッテリーのサイズを選びましょう。

基本的には山小屋にバッテリー充電を期待してはいけません。山小屋に宿泊しているとスマホを充電させてほしいと山小屋のスタッフにお願いしている登山者をたまに見かけます。
中には充電サービスのある山小屋もありますが自分で用意するものです。
山行の準備で装備チェックリストを使っているなら、モバイルバッテリーは「あると便利」枠ではなく「必須」枠に記載されるべきです。
普段使いしているモバイルバッテリーを荷物に入れ忘れるくらいなら、山行専用に別に用意しても良いくらいです。
スマホやGPSが普及する前の遭難事例を見てみると自分の現在地の把握の重要性が伝わってきます。
もちろん言うまでもありませんが、スマホがあればすべての遭難がふせげるわけでは決してありません。
モバイルバッテリーを持って行く際の注意点
まずは前日までにモバイルバッテリー自体を充電しておくこと。バッテリーが残り少ない状態からフル充電するにはそれなりに時間が掛かります。当日になって充電が十分でないと気が付いても手遅れです。

ケーブル自体も忘れてはいけませんが、必要なタイプのコネクタを間違えると悲しい事態になります。ケーブルがモバイルバッテリー本体に付属しているタイプもありますが、断線の可能性を考えるときちんと別にケーブルを用意したほうが無難です。
登山に持って行くモバイルバッテリーの選び方
モバイルバッテリーには様々な容量サイズがあり、自分の行く登山に見合ったタイプを選びましょう。普段使いで便利なタイプのものがそのまま登山でも当てはまるわけではありません。
充電が必要なのはスマホだけではありません。スマートウォッチや充電式ヘッドランプなど、人によってはカメラやGPSデバイスなどもあります。そのように充電が必要なデバイスが多くある場合は複数同時充電に対応したタイプが便利です。

選ぶポイントは容量と携帯性、充電スピードですが、手持ちのモバイルバッテリーがそれらの条件を満たしておらず小容量で重くて充電スピード遅いタイプのものだったとしても必ず持って行きましょう。
十分な容量
スマホのタイプによってバッテリー容量は違います。またスマホ以外にも充電が必要なデバイスがある場合、当然持ってくバッテリーの容量もその分大きく見積もりましょう。
日帰り登山なら5000mAhでも間に合いますが、1~2泊するならその容量だとちょっと心細くなります。ログを記録したり、写真や動画を撮影するならバッテリーの減りも早くなりますし、冬山の場合面白いように見る見るうちに減っていきます。
冬山登山での問題のひとつがスマホのバッテリーの減りが早いこと。油断しているとあっという間に残量があとわずかになっていることも。もし雪山で道迷いになったときスマホのバッテリーがダウンしてGPSが使えなくなったらかなりあせりますよね。いろいろ[…]
もし2泊以上するなら10000mAh以上は欲しいところです。
同行者がうっかりモバイルバッテリーを忘れてしまったら余計に消費します。自己責任だといって突き放せるビジネスライクな関係なら違うかもしれませんが、人間関係は大切にしたいものです。内心チッと思いながらも笑顔で貸してあげましょう。
残念ながらモバイルバッテリーの容量に対して実際に充電できるのはその60~70%です。自分のスマホやデバイスに必要なバッテリー量を計算した際にモバイルバッテリーの容量を鵜呑みにできないので注意しましょう。
バッテリーがどのくらい必要かはその人の登山スタイルによって違ってきます。バッテリーがもったいないからといって、ずっと機内モードにしてしまうとココヘリやヤマップのイマココ機能が使えません。
もし機内モードにするなら山頂や尾根など電波が入りやすい場所ではオフにして情報をネットに出しておくとよいのですが、面倒だしおそらく忘れてしまいます。
自分の登山にどのくらい必要なのか把握できない段階では、多少荷物の重量が増えてしまうのには目をつぶって多めに持って行くと安心です。
携帯性
携帯性に関わる要素は重量と形状です。必要な容量のモバイルバッテリーの中でもなるべく軽いタイプを選びたいものです。削れるところはなるべく削って少しでも荷物を軽くしたいのであれば、数十グラムの差ではありますが無視できません。
登山においてしばしば「軽さは正義」といわれます。ただし登山の正義の一丁目一番地は体力なので軽量化と同じくらい体力作りにも力をいれましょう。
軽さの次に携帯性に影響するのがモバイルバッテリーの形状です。充電はなるべく時間に余裕のある時に行いたいものですが、やむを得ず行動中に充電しなければいけない状況になるかもしれません。そんなときには小型や薄型だと歩きながら充電してもストレスをあまり感じません。
メインに大容量のモバイルバッテリーを持って行き、サブに行動中の充電用として小容量の小型タイプを用意するのがおすすめです。
また薄型タイプだとポケットやポーチの中で充電しやすく、スマホを使う時もモバイルバッテリーを持ちながら操作できます。その際は短いケーブルを使うとからまりません。長いケーブルを使ってスマホだけを手に取ってもよいのですがその分ケーブルがかさばります。
充電スピード
その日の行動が終わり時間がある場合ならあまり問題にならないかもしれませんが、行動中に充電したいならなるべく早く済ませたいものですよね。複数のデバイスに充電したいのにケーブルを1本しか用意していなかった時も時間が掛かるとストレスになります。
充電スピードに影響するのはモバイルバッテリーのワット数です。スマホの高速充電には18~20W以上必要です。

高速充電にこだわるなら充電規格も確認しましょう。主な充電規格にはpower delivery(PD)や quick charge(QC)などがあります。バッテリーだけでなくケーブルも規格に対応したタイプを選ぶ必要があります。
テントや山小屋などに滞在して時間が十分にある状況なら、あまり高速充電に神経質にならなくても良いと思います。
登山におすすめのモバイルバッテリー
充電が必要なデバイスを考慮して必要なバッテリーの容量と規格を確認して、自分の登山に合ったモバイルバッテリーを選びましょう。ケーブルも忘れずに。ケーブルの要らないワイヤレスタイプもありますが、登山では使い勝手が良いとはいえません。
Ankerのロングセラー製品とえばPowerCore10000ですが、今の基準では充電スピードが見劣りします。そんなPowerCore10000の後継モデルがPowerCore10000 PD Redux25Wです。こちらは最大出力は25Wとなっており充電速度が向上しました。重量も194gでこのサイズでは軽量といえます。
最大60W入出力に対応しバッテリー残量が数字で確認できます。パススルー充電に対応しており、AC充電器などで本体を充電しながら、同時にスマートフォンなどの充電も可能。
いかにもアウトドアっぽいデザインで刺さる人には刺さる一品です。防水性、防塵性もあり機能もアウトドア仕様になっています。当然衝撃にも強く、別売りのLEDランタンを装着すればランプにもなります。5000mAhの他に10000mAhと12000mAhの大容量も。登山でも使えますが、どちらかというとルックス重視のキャンプ向け。
約8.6mmの薄型モバイルバッテリーです。重量も110gと軽量。行動中でもスマホと一緒にポケットやポーチに入れて充電可能です。1泊以上の山行ならメインの大容量と別にこちらを忍ばせておくと、登山中にスマホのバッテリーの減りを気する必要はなくなります。
もしモバイルバッテリーとは別に充電器も持って行くなら当然その分荷物は増えます。登山前後にコンセントが使える状況があるなら充電器との一体型モバイルバッテリーが便利です。但し荷物の節約になるメリットがある反面、このタイプはサイズが大きく携帯性がイマイチといったデメリットもます。
【重要】命を預ける道具だからこそ「安全性」で選ぶ
登山用モバイルバッテリー選びにおいて、今最も重要視しなければならないのが「製品の安全性と信頼性」です。
モバイルバッテリーの発火や発熱トラブルが全国で相次いでいます。
特に登山においては、過酷な環境下での使用に加え、密閉されたザック内で強い圧力がかかったり、落下による衝撃を受けたりと、バッテリーにとって厳しい条件が重なります。
最近では万が一の火災リスクを防止するため、一部の山小屋でモバイルバッテリーの持ち込みや施設内での使用を制限・禁止しようとする動きまで出てきているのが現状です。
木造建築で水が貴重な山小屋においてバッテリー火災は一網打尽の致命的な事態を招きます。
周囲の登山者や山小屋に迷惑をかけないためにも、また自身の安全を守るためにも、以下の基準を満たした製品を必ず選んでください。
また使用・保管においても衝撃を吸収するポーチ等に入れたり、水濡れを防ぐため防水スタッフバッグに密閉する、炎天下の車内に放置しないなど注意点があります。
「PSEマーク」がついているモノを選ぶ
モバイルバッテリーを購入する際の基本ですね。
電気用品安全法の基準を満たしていることを証明する「PSEマーク」が本体に正しく印字されているか、購入前に必ず確認しましょう。
日本国内で流通するモバイルバッテリーには表示が義務付けられていますが、ネット通販などでは基準を満たしていない違法な製品が紛れ込んでいるケースがあります。
極端に安価な「中国製(ノーブランド品)」は避ける
ECサイトなどで見かける、メーカー名が不明明瞭な安価な中国製ノーブランド品(いわゆる格安品)は避けるのが賢明です。
安いからといって安易に選んではいけません。
信頼できる大手メーカーだからといって絶対に安全というわけではありませんが、万が一のことを考えると選択肢はおのずと限定されてきます。
まとめ
モバイルバッテリーは便利というだけでなく、安全を担保する役割もあります。万が一のトラブルを想定して必ず携帯しましょう。
持って行ったほうが良いではなく、必ず持って行くべきものです。












