一般的に登山において雨が降ったら問答無用でレインウェアを着用みたいな常識があります。初心者が登山用品店で店員さんに勧められるのがゴアテックスのレインウェアです。そのことは勿論間違っていないし、レインウェアは登山靴、バックパックと並ぶ登山における三種の神器ともいえる最重要アイテムです。
そんなレインウェアですが必ずしも雨に対して最適解となるとは限りません。レインウェアが持ついくつかの弱点のひとつである蒸れの解消に関しては通気性の良いポンチョのほうが優れています。
メリットとデメリットをきちんと把握すれば汗冷えを防ぐためにもポンチョは有効なアイテムです。
ポンチョが得意とするシーン
基本的に森林限界以下の樹林帯のような風の影響が少ない場所です。ポンチョは風にあおられる弱点があるので稜線では危険で使えません。レインウェアとポンチョは得意とするシーンが違います。
ポンチョは風の影響を受けない環境では使い勝手の良いアイテムです。手軽に羽織れてザックまで雨からカバーできます。しかもレインウェアに比べて安い。なにより通気性が良いので蒸れにくいです。
ゴアテックスは透湿性を謳っていますが、実際に標高の低い樹林帯のような気温や湿度が高いところでは内部が蒸れてしまい中に着ているシャツがびしょびしょになりがちです。そのようなシーンでは通気性の良いポンチョのほうが蒸れに悩まさせません。
ゴアテックスが持つ透湿機能はウェアの内部と外部の湿度差がないと発揮されません。標高が高ければウェア内に籠る水分と空気中の水分量に差が生まれ透湿機能が働きますが、気温の高い場所ではウェア内の湿気は外気と差が小さくなり籠ったままとなります。
レインウェアに対してポンチョのメリットをまとめてみると以下のとおりです。
・ザックまでカバーできる
・軽量、コンパクト
・着用が容易
・安い
ポンチョのデメリット
上にも書きましたがポンチョにもデメリットがあり決して万能ではありません。風に弱いのはポンチョの致命的なデメリットです。なので森林限界より上の開けた場所での使用は厳禁です。風の強い稜線上では煽られますし、防水性もレインウェアには敵いません。
さらにポンチョは膝くらいまでしかカバーできないので場合によってはレインパンツを履くかレインチャプスを着用する必要があります。ポンチョの丈が膝下までカバーできるほどならゲイターという手もあります。
また足元が見えにくいのもデメリットの一つと言えます。クサリ場やハシゴが連続するようなコースは例え標高が低くてもレインウェアの方が安全です。
もし登山を始めたばかりでポンチョとレインウェアのどちらを購入するのかと言われたらレインウェアです。もっと言うと登山にどちらか一方だけ持って行くとしたらこの場合もレインウェアです。ポンチョはあくまでも補助的なアイテムであり、レインウェアあってのポンチョと考えましょう。
レインウェアにもいえることですが顔はフードだけでは雨に濡れるのでレインハットを被ると快適です。
ポンチョには迷彩柄のタイプもありますが、登山で景色に溶け込むようなデザインは遭難した場合を考えると当然ながらお勧めできません。
おすすめポンチョ
ULスタイルだとまた違った見解もあると思いますが、ポンチョは山行に必ず持っていくべきマストアイテムではなく、基本的にはサブ的な立ち位置です。なのでポンチョを持っていくと、そのぶん荷物が増えるのでなるべく軽いタイプがおすすめです。
アライテント ビバークツェルト・ソロ
商品名にツェルトとありますが、被ってポンチョとしても使えます。何と言っても105gと軽い!
プロモンテ アンアクター
遮光性のある生地を使用しているので、暑い日にはテントに被せることでテント内の温度が上昇するのを防いでくれます。タープやシュラフカバーにもなり汎用性が高いポンチョです。
Kiu スリーブレインポンチョ
デザイン重視という人向け。タウンユースにも。値段も安くコスパも良いです。
Terra Hiker レインポンチョ
シンプルなデザインでカラーはカーキ、オレンジ、ブルー、ブラックの4種類。こちらもコスパが良いです。
namelessage レインポンチョ
独特のツートンカラーですがデザイン最優先というわけでなく、対水圧は20,000mmあります。伸縮性に優れ着心地の良さ、動きやすさも兼ね揃えています。
Mil-Tec ポンチョ
米軍で採用されているポンチョを再現したモデルです。なので高い防水性と耐久性があります。ポンチョはペラペラして頼りないという印象を吹き飛ばしてくれます。値段もお手頃です。重量は780gとやや重め。
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