登山を始めたばかりの頃、誰もが一度は思います。
「ザックカバー付けてるし、これで中身は完全防水でしょ」
その気持ち、めちゃくちゃ分かります。
見た目もそれっぽいし、なんなら“雨対策ちゃんとしてる感”が出るので安心しちゃうんですよね。
あれを装着すると、なんとなく“安心感”がある。
「これで中身は濡れない!」って思いがちなんですが——残念ながら、そうはいかないんですよね。
ザックカバーをしても普通に濡れます。わりとしっかり濡れます。状況によっては中までいきます。
ザックカバーへの信頼を壊すようで申し訳ないんですが、これは知っておいた方がいいやつです。むしろ早めに知っておいた方が被害が少なくて済みます。
一度痛い目に遭っておく必要はありません。そんな経験はしなくてもいいです。
ザックカバーは“完全防水装備ではない”
ザックカバーって、防水っぽい素材でできてるし、すっぽり覆うし、なんか“守ってくれそう感”がすごい。
でも、基本的に「表面に降りかかる雨」を防ぐことに特化してます。
構造を冷静に見るとこうです。
- 下は開いている
- ゴムで留めてるだけ
- 密閉されているわけではない
つまり、
水の入り口、普通にあります。
例えるなら、「レインコート着てるけど裾ガバガバ」みたいなものです。そりゃ濡れます。
ザックって形が複雑です。背中のパネル部分、ショルダーハーネス、腰ベルト…そこまで完全に覆えるカバーはほぼ存在しません。
つまり、ザックと背中の隙間から雨や湿気が入り放題。
カバーの表面を伝った雫がわずかな隙間から容赦なく侵入します。
特に風が強いと、雨が横なぐりになってカバーの裏に潜り込む。
さらに、雨だけじゃなく自分の汗や体温で、内側からも湿気がこもる。
結果、どんなにカバーしてても、ザックの布地自体が湿り気を帯び、中身にじわーっと伝わってくるんです。
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ザックの防水性も過信は禁物
「自分のザック、防水仕様だから!」って思っているかもしれません。
でも実際、多くのザックは「撥水加工」止まり。完全防水というわけじゃないです。
新品のうちは水を弾いてくれるけど、数回の登山や摩耗でその効果はどんどん落ちていきます。
素材の縫い目から、針穴を伝ってじわじわ浸水することも。
特に底面に水がたまりやすい場面(岩場での休憩時とか)では、染み込みやすいんです。

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ザックカバーをしていても濡れてしまう原因
ザックカバーを装着すると、なんとなく“安心感”がある。
でもその信頼はあっけなく裏切られます。
濡れてしまう原因はいくつもあり、残念ながらどれも完全には防ぎようがありません。
ザックカバーを正しく装着していたら大丈夫かといったら、それでも濡れるときは濡れます。
背中から侵入
ザックカバーの最大の弱点、それは背中側がノーガードなこと。
背中側に直接雨が当たることは少ないかもしれませんが、水はカバーやレインウェアを伝って背中とザックの間に流れ込みます。
で、どうなるかというと、
→ 背面パッドが吸水
→ ザック内部にじわじわ侵入
気づいた頃には、「あれ?なんか雨侵入してるかも…」です。
これはもう仕様です。避けられません。
下からの跳ね返り
侮れないのが地面からの跳ね返りです。
雨の日の登山道はぬかるんでいて、どんなに注意深く歩いても泥水が跳ね返るのを防げません。

ぬかるみ+水たまり+泥=最悪のコンボ
歩くたびに水が跳ねて、それがザックの底に当たります。
でもザックカバーって、下は完全に閉じてません。
つまり、
→ 下から水が侵入
→ 底面が濡れる
→ 中の荷物が静かに死亡
特にザックの底にスタッフバッグに入れずそのまま突っ込んだ着替えとかあると、イザというときに絶望します。
風でズレる、めくれる
ザックカバーは基本、ゴムで固定するだけのシンプル構造。
なので風に弱い。びっくりするほど弱い。
稜線でちょっと強い風+雨になると、カバーがズレる、一部めくれる、気づいたら半分脱げてるなんてこともあります。
もちろん自分ではまさかそんな状態になっているとは認識できないことがほとんどなので、気が付いたときにはしっかりビショビショになっています。
ザックのサイズに対してカバーが大き過ぎるとこのリスクは高まります。
内部の蒸れ
もうひとつ、初心者が見落としがちなポイントがあります。
それが 霧(ガス)です。
「雨降ってないし大丈夫でしょ」と思うかもしれませんが空気中に細かい水滴が多いので、カバーの内側も外側も「濡れやすい条件」がそろっています。。
それ、“ほぼ雨の中を歩いてる”のと同じです。
標高の高い山では、空気が上昇して冷やされることで雲が発生しやすくなります。
その結果どうなるかというと、周囲の湿度、めちゃくちゃ高くなります。
そして霧の正体は何かというと、空気中に漂う超細かい水滴の集合体。
つまり、
- カバーの外側 → 水滴が付着する
- カバーの内側 → 湿気が入り込んで結露する
という、内外ダブルで濡れる環境が完成します。
関連記事:レインウェアを着ても濡れるし蒸れる【超初心者向け】
ザックカバーのメリット
ここまで読むと「いらなくない?」って思いますよね。
でも、それはちょっと極端です。ザックカバーの役割は完全にザックを塗れから守ることではなくダメージの軽減です。
全面的に防水の責任をザックカバーに負わせるのは無理があります。
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ザックへ当たる雨の量を減らす
「無くす」ではなく「減らす」。無いよりマシ。
ザックって見た目はしっかりしてるし、「多少の雨なら余裕でしょ」と思いがちなんですが——
実はほとんどのザックは“防水”ではありません。
あくまで「ちょっと水を弾くよ」というレベルの耐水性。
ザックカバーを付けるだけで、雨に打たれる面積と量を大きく減らせるので、内部への浸水リスクが下がります。
なのでどうなるかというと、雨に打たれ続ければ、普通にじわじわ染みてきます。
最初は平気でも、気づいた頃には「なんか湿ってるな…」になるやつです。

関連記事:登山に傘は必要か【超初心者向け】
ザックの弱点部を保護
雨が入りやすいのは以下のような「防水弱点」ですが、カバーで覆うと直接濡れにくくなります。
- ファスナー周り
- 縫い目(シーム)
- 背面メッシュ(スポンジ部分)
- ポケットのフラップ部
とくに背面スポンジは雨が当たると吸水して重くなるため、カバーの有無で快適性が変わります。
あくまでも濡れにくくなるで、濡れないではありません。
被害の軽減
しつこいようですがザックカバーで完全防水はできませんが、侵入する水の量を減らすことができます。
ズブ濡れがしっとり程度に抑えられます。
もちろんしっとりでも濡れては困る荷物もあるので、ジップロックや防水スタッフバッグも必須です。
濡れによる重量増加を防ぐ
ザックが濡れると生地が吸った水や背面クッションの吸水で数百グラム重くなることがあります。
苦労して軽量化しても吸った雨の重みで台無しです。
本来実感しなくてもいい重さです。
カバーはこの“余計な水の重量”を大幅に防いでくれます。
雨以外の副次的メリット
雨以外にも
- 泥汚れ防止
- 岩や枝との擦れ防止
- 紫外線ダメージ軽減
という副次効果もあります。
「雨の日以外でも装備を守るガード」としての価値が大きいです。
つまり、ザックを長持ちさせるカバーでもあるわけです。

本当に重要なのは内部の防水
実を言うと「外カバーは最初の防波堤」くらいに思っておくのが正解。
雨をある程度防いでくれるけど、決してそれだけで守りきれるわけじゃない。
当然ですが本命は中身の防水です。
外側をザックカバーで直接あたる雨を減らし、内側は防水スタッフバッグで中身を守る。
濡らしたくない荷物の中にはシュラフや着替え、防寒着のように濡れてしまったらアウトな装備もあります。
ちょっとしたピンチどころか紛うこと無き危険ゾーンに入ります。
小屋泊なら着替えなどは乾燥室で乾かすという手もありますが、テント泊でシュラフはアウトです。
湿っただけで性能ガタ落ち、最悪ただの重い布です。
なので外からの雨をどうこうするよりも、
中でどう守るかのほうが圧倒的に重要です。
- 防水スタッフバッグに入れる
- 小分けでジップロックを使う
- 濡らしたくないものは二重にする
こういった対策のほうが、実際の効果は大きいです。
ゴミ袋で内袋を作るのも有効です。
安価で効果絶大。ザックの内側全体に45Lくらいの厚手ゴミ袋をセットすると、浸水をブロックできます。
あとは中身を入れて口を軽くねじるだけ。
意外と信頼できたりします。
まとめ
雨は思ってるよりしつこいです。
そしてザックカバーは、思ってるほど万能ではありません。
でも、ちゃんと使えばちゃんと役に立つ。
ザックカバーは単体で完璧に水を防げるわけではありませんが、
- 雨を受ける量を減らし
- 弱点を守り
- ザックを長持ちさせ
- 濡れ重量増を防ぎ
- 内部防水バッグとの併用で強い防水システムになる
この“総合メリット”が圧倒的に大きいのがザックカバーの存在意義です。






