秋山登山の注意点

秋山登山の注意点 リスクや装備を把握しよう【初心者向け】

秋と言えば夏のツラい暑さも一段落して過ごしやすくなり、食べ物がおいしい季節。山では紅葉が始まり赤や黄色を始めとした見事なコントラストに彩られた美しい景色が広がります。夏には悩まされた虫も少なくなるのもうれしいですよね。

そんな紅葉に誘われて気持ちは山に向かってまっしぐら。9月から10月くらいまでは平地はまだ暑いし、山の涼しい世界でどっぷりと紅葉に浸かりたい。そんな秋山登山ですが、夏とは違う心掛けや装備が必要になってきます。

冬山シーズンが始める前の無雪期登山だからといっても夏山とは条件が異なってきますし、秋が深まるにつれその違いは段々と大きくなっていきます。

夏山とは違う秋山登山の条件

近頃の秋は半ばを過ぎるまで暑く、そんな時期でも山は平地より気温が低く快適かもしれません。そんな秋山は夏山とは別のリスクが発生します。まだ雪が降っていないからと夏山登山と同じような気持ちだと思わぬアクシデントに陥る危険も。

街での季節感で考えていると痛い目にあります。

紅葉の涸沢

行動時間が短い

秋が深まるにつれて日照時間が短くなります。よって行動時間も夏に比べて短くなり、より厳しいタイムマネジメントが求められます。このことをよく認識した上で計画を立てましょう。

昼と夜の時間が同じになる秋分の日は9月の22日または23日です。それを過ぎると夜の方が長くなります。日照時間を比べてみると秋分の日は夏至よりも2時間半ほど短くなります。

とくに早朝からの登山開始が難しい公共交通機関利用者は日帰り登山の場合は時間との戦いになることを覚悟しましょう。もちろん宿泊を伴う登山でも日没が早くなる分、余裕を持った計画が求められます。登山の行動は午前中という原則がより重くのしかかってきます。

日没

秋の日は釣瓶落としと言われるように秋は急速に日が暮れます。時間に追われて焦ってしまうと判断力や注意力の低下を招きトラブルを起こすリスクが高まります。たとえ以前夏に歩いたコースであっても条件は同じではありません。計画段階から改めて吟味する必要があります。

夏よりも早出早着の条件が厳しくなり、時間の無駄遣いをしているヒマはありません。想像しているよりも日没は早くやってくることを肝に銘じておきましょう。

気温が下がる

秋が深まるにつれ当然気温が低くなっていきます。たとえ行動中は汗をかくほど暑さを感じても、夕方になると気温は一気に下がり防寒着が必要です。また天候が急変しやすく予想していなかった事態になることもしばしばです。

夏ならば掻いた汗がいつの間にか乾いていることもありますが、秋になると簡単に汗は乾いてはくれず、インナーや防寒着で体を冷やさない対策がより必要になってきます。汗や雨で体を濡らさない且つ冷やさないよう、こまめな着脱を面倒くさがらないこと。これ結構重要です。

枯れた葉

汗対策と同時に防寒対策も怠らないこと。場所によっては10月中旬から雪が降ることもあります。フリースやアクティブインサレーションなどのミドルレイヤーで寒さ対策を万全に。

秋の防寒対策でおすすめなのはアクティブインサレーションです。冬山ではミドルレイヤーで活躍するアクティブインサレーションですが、気温が冷え切らない秋にはアウターとしても有効です。フリースより通気性があり行動中も保温機能がありながら熱が籠らず、汗冷えのリスクを軽減してくれます。

もちろん風が強い場合も考慮して防風機能を備えたアウターを用意しておく必要がありますが、特に10月以降の寒さ対策がシビアになる季節の山歩きには便利なアイテムです。

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山では昼間の気温が高くても朝晩は寒さを感じることも珍しくありません。更に夕方が近づくと気温が一気に低下します。ここで注意したいのは日没ではなく夕方であること。想像しているよりも早く気温が下がってきます。

まだまだ暑い環境に中で持ち物の準備をしていると、はなかなか防寒のことを考えるのはイメージしにくいかもしれませんが、ここは想像力フルに発揮しましょう。荷物が増えるのを嫌がって防寒着を省略すると命取りになります。

テント泊の場合は夜間気温が下がるので防寒着や厚めのシュラフ、銀マットなどで寒さ対策が必要です。ここを怠ると夜の間ろくすっぽ寝られず、翌日は寝不足の状態で行動するハメになります。地面からの冷気対策はシュラフや防寒着も大切ですが、マットを重要視すること。地表からの冷気はシャレになりません。

登山道の状態が悪化する

秋になると葉が落ちて山は落ち葉で覆われます。また滑りやすくなりルートが不明瞭になります。早朝には霜が下りて、急な斜面や崖沿いの登山道ではスリップの危険が増します。

登山中にもし怪我をしてしまうと、ただでさえ少ない行動可能な時間がどんどん過ぎ去っていきます。最悪ビバークするハメになるかもしれません。仮に低山や里山ならそこまで深刻ではないのではと思ったら大間違いです。もしろ登山者が少ないマイナーな低山こそ救助のカギとなる山小屋や他の登山者が少ないといった悪条件が揃ってしまうことも。

晩秋の登山道

万が一のためツェルトやビバークシートを用意しておきましょう。使わないに越したことはありませんが、いざという時の命綱になる頼もしい存在です。

山小屋の営業が終了

多くの山小屋は秋半ばを過ぎたころに小屋仕舞いをしてしまいます。通年営業の山小屋はごく一部です。たとえ宿泊する予定がなくても準備段階で行く山域の山小屋の営業状況を確認しましょう。季節だけでなく改装などの理由で営業していないこともあります。

営業していると思っていた山小屋が閉まっているのを実際に目にするのは中々ショックです。そのことで心理的に計画が狂ったり動揺して判断ミスをしないよう事前に営業状況を把握しておきましょう。

山小屋

公共交通機関が終了

公共交通機関の場合、登山口へのアプローチはマイカーと比べてかなり制限されます。バスは季節ダイヤで秋半ばから春まで運行なない路線はザラです。公共交通機関利用者にとっては少々割高になってもいいので走らせてほしいものなのですが。

また運行があっても本数が少なかったりと何かと不自由です。予定していた便を逃したためにタクシーを呼んで余計な出費を強いられることも想定しておかなければいけません。コースタイムをこまめにチェックして限られた時間の中で余裕を持った行動が求められます。

秋が深まるにつれ落ち葉が多くなり山の風景も寂しくなっていきますが、バスの運行状況も同様に寂しくなります。

熊の行動が活発化

冬眠に備えて餌を求めて熊の行動が活発化します。冬眠前に熊は行動範囲を広げて餌を探すと言われています。もっとも最近は人間がいるエリアにも熊の出没が相次いでおり意外な場所で遭遇する可能性もあり油断できません。

熊は本来臆病な生き物です。人気のないエリアでは熊鈴を付けて存在を熊に知らせましょう。熊撃退スプレーを持っていれば実際に身を守れるかどうかは正直なところ?マークですが、心強いお守りにはなります。

熊

秋山登山に持っていくと便利なアイテム

夏山では必ずしも必須アイテムではなかったギアも秋山ではその重要性が違ってきます。まあいいかと省いてしまったがために後悔しないためにも、しっかりと準備しましょう。夏に比べて荷物が多くなるのはしょうがないのです。

ここに紹介するアイテムは必ずしも真夏には必要ないというわけではありませんし、秋山に持って行くべき荷物のすべてでもありません。あくまでも上手に活用すると便利なアイテムです。

ソフトシェル

夏山のように半袖シャツ1枚で行動できません。幅広いシーンで活躍するソフトシェルは是非持っておくべきウェアです。保温性、防風性、防水性などさまざまな機能に特化しているわけではないのですが、逆にそれが汎用性の高さになっています。なので雨が降ってきたらレインウェア、寒さを感じてきたらミドルレイヤーなどと組み合わせて活用しましょう。

フリース

フリースは防風性はありませんが保温性は抜群です。秋が深まり気温がぐっと下がったころには出番が多くなります。秋山でもレイヤリングを考えると薄手から中厚手のタイプが便利です。

アクティブインサレーション

発汗量が多い人におすすめな行動中の防寒着がアクティブインサレーションです。ウェアの内側に熱を溜めずに発散して汗冷えのリスクを下げます。停滞中は寒さを感じることもあるので別に防寒ウェアを用意したほうが万全です。

ダウンジャケット

ダウンジャケットは掻いた汗が発散せず行動中はできれば着ないほうがいいのですが、停滞中には強い味方になります。もし万が一ビバークするハメになったら絶対あった方がよいです。

ドライレイヤー

汗の処理は季節を問わず重要な課題ですが、汗が乾きにくいシーズンほど重みが増します。汗冷えのリスクを下げるのに便利なドライレイヤーを上手に活用しましょう。上に着用するベースレイヤーは体に密着するサイズを選ぶとドライレイヤーに染み込んだ汗を効率よく吸い上げてくれます。

帽子

晩秋になればそろそろニット帽の出番です。デザインによってビーニーとかワッチキャップという呼び名もあります。

グローブ

手を冷えから守るグローブも容易しておきましょう。雪山用だとオーバースペックになってしまいます。

mont-bell(モンベル) トレールアクション グローブ Men’s ブラック(BK) L
ノーブランド品

ツエルト、エマージェンシーシート

これらは夏山でも必要ですが、気温の低い季節には更に重要度が増します。

水筒

夏に水筒で暖かい飲み物を持っていく登山者は少ないと思いますが、秋が深まるにつれてありがたみは増していきます。

スープジャー

スープジャーを上手に活用すると山メシのレベルがワンランク上がります。暖かいシチューやスープは冷えた身体には世界一のごちそうです。

テントマット

夏と比べてR値の高いタイプを選ぶと快適さもアップします。

銀マット、銀シート

夏のテント泊とは違い地表からの冷気がキツくなります。銀マットを活用して少しでも快適なテント泊の環境を整えましょう。シートタイプはグランドシートとしてもテントの中で使っても便利です。

チェーンスパイク

山間部では早ければ10月から降雪があります。場合によってはチェーンスパイクや軽アイゼンがあったほうが便利どころか危険を回避できるといった状況も考えられます。結果的に使わなくても万が一のために持って行くのは決して無駄でも間違いでもありません。

クマ撃退スプレー

いざ熊と遭遇した際に冷静に判断し正しく使えるかなど、実際に経験してみないとわからないし、できればそんな経験はしたくありませんが何もないよりマシです。

まとめ

夏のハイシーズンと比べ登山者の数が減りマイペースな山登りが楽しめそうな秋ですが、かといって日没があっという間にやってくるためあまりゆったりと行動できないのが秋山登山でもあります。また紅葉真っ盛りのタイミングは思っている以上に混雑していることもあり油断できません。

秋の山は夏の続きというより徐々に冬が始まっていると考えましょう。

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