大菩薩嶺は危険個所がほとんどなく、さほど長くないコースタイムで展望の開けた稜線歩きが可能なので、天気の良い週末には登山者でにぎわう人気の山です。そのためか比較的年齢層の高い登山者が多く見られます。また登山初心者に紹介したり、一緒に行ったりするのにもおすすめの山です。
そんな大菩薩嶺ですが山と高原地図を眺めていると地図の中央に牛の寝通りが目に入ってきます。大菩薩峠を南へ下り石丸峠を過ぎたあたりから小菅へ向かう登山道です。5月の下旬に上日川峠から唐松尾根を登り、大菩薩峠を経由して牛の寝通りで小菅へ抜ける縦走路を歩いてきました。また牛の寝通りの北側には大菩薩峠から丹波へ向かう丹波大菩薩道もあり、こちらも日帰りの縦走路として魅力的です。
主な登山口まではバスが運行
大菩薩嶺の主な登山口は上日川峠やその手前の小屋平、裂石などがあります。上日川峠と小屋平は甲斐大和駅から、裂石にある大菩薩峠登山口には塩山駅からそれぞれバスが出ているので公共交通機関利用者としては助かります。尚、通年運行は塩山駅から裂石への路線のみとなり、甲斐大和駅から上日川峠へのバスは冬季は運休します。登山シーズンの週末には甲斐大和から出発するバスは臨時便が出るほど混雑します。
駅の改札からは見えませんが、すぐ近くにコンビニがあるので昼食や行動食を購入することができます。コンビニに寄っても余程のことがない限りバスに乗れないなんて事態にはならないとは思いますが、先発便に乗って少しでも早くスタートしたいなら前もって必要な物は用意しておいたほうが無難です。
バス乗り場はコンビニとは駅を挟んで逆側の武田勝頼公之像がある場所です。トイレは駅の他にもバス乗り場にもあります。
上日川峠から大菩薩嶺へ
甲斐大和駅でホームに降りた時、電車から予想以上の人数の登山客が出てきたのに少し驚きました。バスの出発は時刻表によると8:10発とありますが、すでに先発便は8時前に出発したようです。私の乗車したバスも8時を数分過ぎたタイミングで走り出しました。通常甲斐大和駅から上日川峠まで40分ほどで到着するのですが、この日はもう少し時間が掛かりました。
上日川峠はバスとマイカーで混雑しており、車両誘導員の声が響き渡っていました。目の前にあるロッヂ長兵衛で登山の出発を手早く済ませます。ロッヂ長兵衛は以前宿泊しましたが部屋は基本個室で風呂もありとてもキレイな山小屋です。ご主人もとても感じの良い方でした。大部屋に抵抗があって山小屋にまだ泊まったことないという人にもハードルが低いと思います。
ロッヂ長兵衛の脇の道からスタート。登山道と平行してアスファルトの道が福ちゃん荘まで続いています。アスファルトの道は味気ないですが、登山道がぬかるんでいる場合は早々に靴を汚さないくて済みそうです。とはいってもいずれ必ず汚れるんですがね。
しばらく樹林帯のゆるやかな斜面を登っていきます。ウォームアップにちょうど良い感じです。5月のこの時期は樹々の緑が若々しい。
スタートして20分で福ちゃん荘に到着。馬刺しやけんちん汁といったメニューが見えます。
福ちゃん荘の前で大菩薩嶺への最短距離である唐松尾根と介山荘のある大菩薩峠へのルートに分かれます。今回は唐松尾根を進みました。
唐松尾根を進むとまた同じような樹林帯が続きます。ここまで危険な箇所はなく歩きやすいコースです。
しばらくすると視界が開けて振り返ると富士山と大菩薩湖が見えます。
こちらは甲府盆地方面。
尾根を上りきる点前で岩が露出して段差が現れますが問題なく通過できます。
尾根を上りきったところが雷岩です。スペースがありビュースポットとなっています。
大菩薩嶺山頂は展望なし。
山頂を超えて進むと丸川峠ですが、ここで引き返して大菩薩峠方面に向かいます。
標高2,000メートルの標識。
登り始めて1時間半ほどでこのような稜線歩きができるところが、大菩薩の人気の理由のひとつだと思います。
青空が見えていたら良かったのですが、雲がだんだんと多くなってきました。当日は暑くもなく、寒くもなく穏やかな風が心地よい天気で念のために持ってきた日焼け止めも出番は無し。
賽の河原にある休憩のための小屋。
ここまでくれば介山荘のある大菩薩峠までもうすぐ。
介山荘の前は登山客で賑わっていました。小屋の名前の由来は小説『大菩薩峠』の著者中里介山から。
介山荘の軽食メニュー。このまま上日川峠へ降りるだけならここで何か食べてもよかったのですが、この後に牛の寝通りを経て小菅へ向かうため時間を惜しんで素通りしました。
介山荘から石丸峠に向かいました。石丸峠からも上日川峠へ出られます。このルートは途中で上日川峠の手前のバス停である小屋平を通過します。
介山荘を過ぎて石丸峠に向かうと途端に登山者の姿を見なくなりましたが、小屋平で降りた乗客は結構いましたのでもう少し早い時間帯だと登って来る人が多くいると思われます。
石丸峠を少し過ぎると牛の寝通りの分岐が現れます。
牛の寝通りに入ると所々でツツジが目に入ってきます。大菩薩嶺では虫はあまりいませんでしたが、牛の寝通りに入るとやや多く見られました。
榧ノ尾山の標識。まったく山頂っぽくない。
牛の寝通りは展望はなくひたすら樹林帯なので苦手な人にはツラいかも。秋になって葉が落ちたら寂しい風景も、この季節は緑が目に優しいのが救い。
牛の寝通りから少し離れたところにある狩場山。
棚倉という地点で小管方面に向かいますが、大マテイ山を経由して松姫峠へ向かっても、途中の山沢入りのヌタという分岐で小管に抜けられます。
このあたりは片側が急斜面でずり落ちたら100メートルくらいは転がっていきそうで、雨が降ってぬかるんでいたり、雪が残っている時は通りたくないと思いました。
棚倉の分岐から20分ほど歩き、高指山の手前の分岐で山沢川沿いの林道を目指します。ここはわかりにくい上に標識がなくうっかりすると見落とします。ですがこのまままっすぐ行っても同じ登山口には出られます。というか自分が選択したルートはあまり踏み慣らされていなく、しかも下りの急斜面で更に山の北側斜面なので薄暗いとというどうやらハズレっぽい感じでした。遅めの時間帯に歩くとちょっと不安になるような雰囲気です。
そんな残念なルートもしばらくすると明瞭になり傾斜も緩やかになりました。山沢川が見えるころには先程とはまったく違った雰囲気と歩きやすさになりました。
アスファルトの林道になり、このあと30分ちょっと歩きました。
ゴールは小菅の湯。ここで汗を落としました。仮眠スペースやマッサージ機、食堂などがありバスが来るまでの時間を過ごせます。コミックも豊富に取り揃ってます。