登山を快適にしてくれるアイテムである帽子。直射日光を遮るだけでなく他にも様々なメリットがあります。なんとなく帽子がなくても大丈夫かなとか、登山靴やレインウェアなどと比べると重要度が低いように感じるかもしれません。ですが帽子を被ると確実に登山の快適度は上がります。
晩秋から春先にかけての寒冷期ならば防寒のためにも帽子が必要なのは当然です。翻って夏山では絶対に持っていかなければならないマストアイテムといった扱いをされませんが、頭部の保護や熱中症の予防など帽子を被ることで得られる効果は決して小さなものではありません。
夏山登山で帽子を被る理由
おしゃれといったファッション的な理由もありますが、それよりも登山者の身を守るための理由が大きいです。熱中症の予防はもちろんですが、足元が不安定だったり岩や石がゴロゴロしているところを重い荷物を背負いながら長時間移動する登山という行為を考えてみれば、頭を守ることの重要性に異論の余地はないはずです。
帽子が必要な主な理由は以下のとおりです。
- 直射日光を遮る
- 熱中症の予防
- 頭部の保護
どれも重要ですね。
直射日光を遮る
直射日光に含まれる紫外線に当たると当然ながら日焼けしますし、シミやソバカスの原因になります。特に女性にとっては大問題ですよね。日焼け止めを塗ることによってある程度防げますが、帽子を被ることでより紫外線を防げます。
紫外線は標高が高くなるにつれ強さが増すので、平地にいるよりもダメージも大きくなります。高度が1000メートルあがると紫外線は10~12%増加すると言われています。紫外線は季節によっても変わり、真夏はもっとも高くなります。
日焼けが健康的ともてはやされたのは、もはや過去の話です。
熱中症の予防
真夏や気温の高い日は熱中症のリスクが跳ねあがりますし、たとえ曇っていても紫外線量が高いと熱中症にかかります。標高の低い山だと気温が平地とあまり変わらないようなこともあります。山は涼しいといった思い込みは捨てましょう。
熱中症になりやすい要因として体力不足や睡眠不足、高齢、肥満などが挙げられます。熱が体外に放出されないと体に籠ってしまいめまいや痙攣、倦怠感が症状として表れ、重症の場合は意識障害を引き起こすこともあります。
無事下山したと思っていても、時間が経ってから熱中症の症状が表れることもあるので要注意です。
夏本番になると涼を求めて登山をする人が一気に増えます。山の涼しさは天国ですよね。ですが山で涼しいのは標高がある程度高い場合です。登山口や登り始めてからしばらくは暑さから逃れられませんし、低山の場合あまり涼しくありません。油断していると熱[…]
頭部の保護
登山では落石の危険が付きまといます。防御力はヘルメットには敵いませんが、何も無い状態で頭部に直撃するよりも怪我の具合は変わってきます。
また落石だけでなく木の枝が当たったり転倒した際も帽子は頭部の保護に役立ちます。
帽子を被らなかった場合のリスクを考える
帽子を被る理由のうち最大のものは熱中症の予防です。熱中症は最悪の場合命にかかわります。もちろん帽子さえ被っていれば防げるわけではなく、水分や塩分の補給など様々な対策が必要です。
熱中症とまでいかなくても日光を長時間直接浴びると疲労を感じやすくなります。もちろん肌への老化促進効果もバツグンです。
帽子を被ることを怠ったがために被るかもしれないリスクを考えると、限りなく必須アイテムに近い存在といえます。
帽子の種類
冬山の場合はビーニーがメインですが、夏山だと大きく分けてハット型とキャップ型の2種類です。それぞれに長所短所があるので、それらを把握した上で自分に合ったタイプを選びましょう。
ハット型
帽子の周りをツバが囲んでいるのが特徴。首回りや側頭部、後頭部も直射日光から防ぐことができます。風に煽られやすいのであご紐で飛ばされないようにする必要があります。
メリット | ・直射日光を遮る範囲が広い ・防暑性が高い ・レインハットの場合、首回りからの雨の侵入を防ぐ効果が高い |
デメリット | ・レインウェアとの併用が難しい(レインハットの場合は除く) ・視界が遮られる ・風に煽られやすい ・見上げる時にツバの後ろがザックに干渉する |
キャップ型
いわゆる野球帽の形をしているタイプ。ツバは前面部分のみについています。トレランの場合はキャップ型の一択です。岩場でもヘルメットの下に帽子を被るならキャップ型になります。ハット型に対して直射日光の遮断性の面ではおとりますので、日焼け止めなどの紫外線対策をしっかり行う必要があります。
メリット | ・視認性が高い ・レインウェア、ヘルメットとの相性良い ・トレラン、岩場で適している |
デメリット | ・日除け効果は限られる |
夏山登山の帽子を選ぶポイント
帽子を選ぶ際のポイントはデザインだけでなく、その機能性も考慮に入れましょう。帽子に期待する機能は季節や天候によって変わってきます。真夏の暑い時期なら熱中症予防、少し寒さを感じる季節なら防寒アイテムとして、雨の場合は防水性に重きを置きます。
通気性
帽子を被ったがゆえに頭が蒸れてしまうと、熱が籠ってしまいます。頭皮にも良くありません。特に夏に使用する帽子はメッシュ加工が施されているタイプを選びましょう。ベンチレーション機能があることで発汗量に差が出ます。
UVカット効果
紫外線対策を重視するならUVカット機能を備えている帽子がおすすめです。通気性とUVカット機能を両立させたタイプもあります。UVカットと記載されていなくてもポリエステルやウールには紫外線の約90%を遮断する機能があります。いくら帽子にUVカット機能があっても直射日光が当たっては意味がありませんので、ツバの長さが十分長い形状のものを選びましょう。
防水・撥水性
天気予報は晴れでも山ではにわか雨に会うことも珍しくありません。撥水機能があればちょっとした小雨は防げます。登山用品店にはゴアテックス製の帽子も見掛けるようになりました。ゴアテックスには透湿性もありますので汗を外に逃がす機能も備えています。但しそれでも通気性は普通の登山帽子より劣ります。本格的な雨の場合は雨用帽子が便利です。レインウェアのフードだけだと顔に雨が当たるので、フードと帽子の併用が効果的です。その際キャップ型は帽子の上からフードを被りますが、ハット型の場合は逆にフードの上にレインハットを被ると快適です。
速乾性
汗や雨で濡れても素早く乾くことで蒸れを防ぎます。帽子は汗を吸い取る役目を果たしてくれるので、被らない場合と比べて顔に流れる汗の量が違ってきます。帽子がないと汗かきの人はしょっちゅう顔をタオルで拭くハメになりちょっとしたストレスに。因みに汗の量が多すぎて帽子にビショビショになりがちなら、手拭いやバンダナを頭に巻いてその上に帽子を被ると吸汗性が向上します。
おすすめの登山用帽子
ハット型とキャップ型それぞれのおすすめの帽子をご紹介します。
ハット型
ノースフェイスの人気の高いハットです。UVカット機能を備え、メッシュ加工をしているので通気性を確保しています。カラーバリエーションも豊富であご紐は取り外し可能です。
同じくノースフェイスですが、より通気性に優れたタイプです。こちらもカラーバリエーションが豊富です。
素材に通気性のよい綿麻が使われています。裏地にはUVカット効果のあるポリエステルを使用しています。抗菌防臭加工も施されています。
首の後ろもしっかり日焼けから守りたい人向け。コロンビア独自の素材であるオムニフリーズゼロは体から放出された水分を冷気に変えるため、頭部と首元を暑さから守ってくれます。首元がついおろそかになりがちな人にとって、このタイプは重宝します。
ミレーの防水ウェアに使われている高い透湿性を持つティフォンを使用したレインハットです。優れた耐水性と透湿性を両立させています。雨の中の行動では蒸れの問題が付きまとうので、透湿性は軽視できません。
テフロンで撥水加工されているので雨を弾き防水性は抜群です。サイドはメッシュ加工されており蒸れを軽減。おでこが当たる部分には吸汗速乾素材を使用しているので大量の汗にも対応可能。
キャップ型
ポリエステル製で軽く速乾性に優れています。ブランドロゴがはっきりとわかるデザインは苦手な人向け。お手入れはドライクリーニングで。
特徴的なカラーで他人と被りません。伸縮性に優れた素材をつかっているので被り心地が良いのが特徴。長時間被るとなるとフィット感は重要です。
コンパクトにたため携帯性に優れています。UVカット機能付き。
オーガニックコットンを使用したパタゴニアの定番商品でアウトドアだけでなくタウンユースにも。
コストパフォーマンスに優れたレインキャップです。素材はポリエステル100%で内側はメッシュ加工されています。
まとめ
日差しを避け日焼けを防ぐことを重視するならハット型、トレランや岩場での使用ならキャップ型が適しています。ハット型、キャップ型のそれぞれの特徴を把握し自分の登山スタイルや優先順位を考慮して帽子を選びましょう。