夏本番になると涼を求めて登山をする人が一気に増えます。山の涼しさは天国ですよね。ですが山で涼しいのは標高がある程度高い場合です。登山口や登り始めてからしばらくは暑さから逃れられませんし、低山の場合あまり涼しくありません。
油断していると熱中症や脱水症状を引き起こすこともあり注意が必要です。山の中で具合が悪くなっても近くに病院はありませんし、救急車を呼ぶこともできません。街中と違い病院に着くまでとても時間がかかります。そのような事態にならないよう登山の暑さ対策をまとめてみました。せっかく山に来たのだから暑い思いをせず、少しでも快適に過ごしたいものです。
熱中症の原因と症状
熱中症の原因は簡単にいうと体温の上昇と水分やミネラル不足です。寝不足や体調不良は勿論ですが、肥満している人、高齢者、心疾患を持っている人なども熱中症になりやすいといわれています。そのような条件に当てはまらなくても、体が暑さに慣れていない場合も熱中症にかかりやすく、自分は大丈夫などとは思ってはいけません。
・水分やミネラル不足
熱中症の初期症状はめまいや立ち眩み、顔のほてりなどですが、これらの症状が起こっても意外と見逃しがちです。そのまま対処せずにいると、気付ないうちに熱中症が重くなっていき頭痛や吐き気、倦怠感などが症状として表れ最悪命に関わる事態にもなりかねません。そのためには熱中症になってからではなく、ならないように万全の準備が重要です。登山前の十分な睡眠と食事は最低条件であり、夜更かしや朝早く起床して食欲がないからと朝食を抜くのは論外です。
重症度 | 症状 |
---|---|
軽度 | めまい、立ちくらみ、痙攣、大量発汗、体温は正常 |
中等度 | 頭痛、吐き気、下痢、倦怠感、集中力や判断力の低下、高体温(40℃未満) |
重度 | 意識障害、運動障害、超高体温 |
熱中症は中程度でも入院が必要となる場合もあるといわれています。
熱中症の症状が表れたら
熱中症のなり始めは他人からは中々わかりにくいものです。自分自身がなるべく早く気付くことが重要です。ちょっとでも立ち眩みやめまい、顔や体の火照りを感じたら熱中症を疑いましょう。
日陰や風通しの良い涼しい場所に移動し、水分・塩分補給をしてください。基本的に付近に医療機関はありませんから、何としてでも症状を軽度の段階で食い止め、中等度へ進めないことが肝心です。
登山における熱中症対策
登山中に熱中症にならなようしっかりと準備をしましょう。熱中症は高齢者のほうが掛かりやすい傾向にありますが、まだ若いから大丈夫などと油断してはいけません。老若男女問わず誰にでも起こり得る症状だと認識する必要があります。
登山前の対策
登山前にできる最大のことはコンディションの調性です。しっかり食べて、しっかり寝る。
食事をしっかり摂る
朝食は絶対に抜かないこと。朝早く起床して食欲がないかもしれませんが、がんばって食べましょう。シチューなどの汁物は喉に通りやすいですし、雑炊やリゾットはお米(炭水化物)も同時に摂れます。また前日の食事も重要です。
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十分な睡眠
食事と同じくらい重要です。前日遅くまで仕事や家事などに追われることもあるかもしれませんが、睡眠不足は体力はもちろんのこと判断力も低下し事故のリスクは跳ね上がります。
事前の水分補給
登山を開始する前に十分な水分を摂りましょう。ただし飲み過ぎるとトイレが近くなってしまうのでほどほどに。
暑さへの順応
普段から外の空気を吸って暑さに慣れておくのも大切です。エアコンの効いた部屋に一日中いるのではなく、汗をかき体に暑さを慣れさせると熱中症にかかりにくくなります。暑さへの順応は個人差があるので一概に言えませんが、1日や2日でできることではなく、普段からの心掛けが肝心です。
登山中の対策
登山中は気分が高揚して勢いに任せて行動しがちですが、意識して水分補給を行うことがポイントです。気が付いたらめまいや立ち眩みを感じるようでは自己管理が甘いと言わざるを得ません。冷却グッズを上手に活用するもの良いです。
水分補給
喉の渇きを感じる前に億劫がらずに水分を補給しましょう。大量の汗を掻くと水分だけでなく塩分やミネラルが失われます。登山中に飲む飲料としてスポーツドリンクは人気ですが、糖分過多が気になるならスポーツドリンクより電解質濃度が高く糖質濃度が低い経口補水液がおすすめです。
山行回数の多い人はパウダータイプでまとめて購入すればコスパもいいですね。
こまめに水分補給するのにはハイドレーションが便利です。
栄養補給
エネルギー消費の激しい登山では水分だけでなく栄養補給も重要です。エネルギー不足でへばってしまうと当然熱中症なるリスクも上がります。
あんこ好きのための飲める羊羹です。
熱中症対策には水だけでは不十分ともいわれています。電解質の補給も必要です。
帽子
暑い季節の登山に帽子は欠かせません。尚、日焼け止めは塗った方が良いのは間違いないですが、熱中症予防にはならないと言われています。
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衣類の着脱
気温の低い早朝にスタートした時点で衣類を重ね着をしたまま気温の上がった日中も行動していると、知らず知らずのうちに体に負担が掛かります。あまり汗を掻かない体質でも衣類の着脱は面倒くさがらないこと。
休憩でクールダウン
テント泊などで荷物が重かったり、急登が続くと体温はどんどん上がります。無理をせず細かい休憩で体をクールダウンすることを心掛けましょう。
暑さ対策グッズを活用
冷感タオルや冷却シート、ネッククーラーなど登山で使える暑さ対策グッズを上手に活用しましょう。
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一般的な日焼け止めクリームは直接は熱中症対策にはならないのですが、こちらのNIR Prokunは塗る熱中対策クリームで熱中症の原因のひとつである近赤外線を高遮断し日焼け止め効果も有する優れモノです。
登山後の対策
登山中は自覚が無くても下山後に熱中症の症状が表れ具合が悪くなるケースもあります。無事下山したからと油断せずしっかりとアフターケアを行いましょう。水分補給とクールダウンを行うことで熱中症だけでなく、筋肉痛の予防にもなります。
水分補給
下山後のビールは格別ですが、もし喉の渇きを感じるなら水分補給が必要です。残念ながらアルコール類は水分補給になりません。本当に残念です。
体温調整
下山後の温泉は堪りません。その際体のほてりを取るために冷水を足に掛けると効果的です。
まとめ
暑い季節には常に熱中症のリスクを常に頭に入れておきましょう。油断しているといつの間にか熱中症を引き起こしている事態になりかねません。ですが万全の準備と対策でそのリスクを限りなく引き下げることは可能です。