登山で雨に降られることは良くあることです。例え天気予報で雨の確率が低くても普通ににわか雨に遭遇することはしばしばあります。
一般的な(?)天気予報は基本的に県庁所在地やある程度の規模の都市のものです。そしてそれらはだいたい平野や盆地などの低地にあります。
それに対して標高の高い山では天気の事情は低地とは異なります。天気が急変したり、予報に含まれなかったことが普通に起こります。
なので登山では雨具は必須。例え晴れ100%の予報でもレインウェアは持って行きましょう。ですが時には傘があると便利な場合が結構あります。
レインウェアは必ず持って行くモノ、傘はあると便利なモノ
日帰りでも宿泊を伴う登山でもレインウェアを持って行かないケースはありません。天気予報が晴れと強調していてもザックの中には無条件にレインウェアを忍ばせましょう。
結果的に使う機会がなくてもザックの容量を占有してしまっても、レインウェアは必ず携帯するものです。
それに対して同じ雨対策の道具である傘は持っていくかいかないか、選択の余地があります。
登山において、傘はあれば便利なモノとして存在するからです。レインウェアは持っていないと命に関わる事態も起こり得ます。ですが傘を持っていないからといって、そのようなケースに落ち得ることはあまり考えられません。
命を守るためというより、より快適に登山を行うために持って行く道具です。
登山においてあればたとえ便利なモノでも持って行かない、という考え方もあります。荷物を最小限に抑えるため持って行く物は必需品のみ、多少不便、不快でもガマンする。登山に対してそのようなスタイルで臨むのであれば、傘は不要な道具となります。
レインウェアは三種の神器や最重要アイテムと言われるにもかかわらず万能というわけではありません。そんなレインウェアの弱点を傘は補ってくれます。
登山で傘を使うメリット
登山で傘を使う大きなメリットはすなわちレインウェアの弱点でもあります。
・手軽
・テント場での移動
・日除け
・風除け
蒸れない
どんなに高い透湿性を備えた高性能なレインウェアでも、蒸れを完全に解消することはできません。ビニールカッパに比べたらその快適さは明確な差がありますが、それでも行動すれば人間の体は発汗しレインウェアの内部の湿度と不快指数は上がります。
その点傘は蒸れの心配がなく快適に行動できます。
手軽さ
レインウェアは着るまでが一苦労です。まず背負っているザックを降ろして取り出すさないといけません。レインパンツを装着するのは登山靴を脱いでも履いたままでも時間がかかります。
雨が降り出したと思ってせっかくレインウェアにを着たのに、しばらくして晴れだしたらまた時間をかけて脱いで袋に収納しザックにしまう。登山では当たり前のことなのですが、こんなときに傘があったら(もちろん傘が使える条件での話ですが)便利です。
傘でしたらザックのサイドポケットなどすぐ取り出しやすい場所に入れておけます。その手軽さはレインウェアを遥かにしのぎます。
テント場での移動時
上記の手軽さと被りますが、テント泊の場合、買い物やトイレなどテントと山小屋を往復するのにいちいちレインウェアを着るのは億劫です。傘があれば気軽に小屋と往復できます。
テントの中でレインウェアを着たり脱いだりするのは結構一苦労です。特にすでに濡れているレインウェアを再度テントの中で着るのは精神的にツライものがあります。
日除け
真夏の太陽がカンカン照りのときは日傘としても使えます。UVカット加工された傘であれば日焼け対策にもなります。
風除け
風が強いときにテント場で調理する際、コンロの風除けにも使えます。
登山で傘を使うデメリット
登山での傘のデメリットのいくつかは使える条件が限られていることと関係があります。レインウェアが万能でないのと同様に、また傘にも当然弱点があります。
・寒さを防げない
・手が塞がる
・狭い場所ではジャマ
・荷物が増える
風に弱い
尾根や稜線は強い風があらゆる方向から吹いてくる可能性のあるので危険です。森林限界を超えたら傘はしまいましょう。傘が吹き飛ばれたり、バランスを崩して転倒や滑落の原因になります。森林限界を超えたら怖くて傘は使えません。
樹林帯ではめったにありませんが、横殴りの雨だと当然びしょ濡れになります。
寒さ対策にはならない
蒸れない代わりに寒さに対しては全く効果はありません。レインウェアは風を通さず、防寒機能もあります。
手が塞がる
傘を持つ手が塞がれるので転倒の際はリスクが伴います。両手でストックを使うことはできなくなります。
岩場など足元が不安定な場所では使用を控えましょう。
ザックに固定するハンズフリータイプの傘もあります。
狭いところでは邪魔になる
狭い登山道では木の枝にぶつかったりして危険です。すれ違いの際にも傘がジャマになります。
荷物が増える
荷物を少しでも減らすことが優先順位のトップならば、傘は真っ先に削除リストに載ります。レインウェアは削れませんが、傘は必需品とは言えません。
登山におすすめの傘
基本的に登山で使う傘は折りたたみタイプです。通常の長傘は持ち運びに不便なので適していません。
ここでは登山にオススメの傘をご紹介します。
モンベル トレッキングアンブレラ
カーボン骨を使用したトレッキング用の傘です。カラーは6色。広げたときの直径は98㎝と十分なサイズです。本体は150g。
ユーロシルム DANTYオートマチック
耐久性に定評のあるユーロシルムは豪雨でも壊れないとのこと。フレームにはプラスチックにガラス繊維を混合させた繊維強化プラスチックという素材が使われています。重量は330gなので軽量性よりも耐久性を重視したい人向けです。
ユーロシルムでもう少し軽いタイプが欲しいという人はこちら。自動開閉機能をなくし175gまで軽量化。ユーロシルムでは最も軽いシリーズです。
エバニュー SL76gアンブレラ
世に流通している登山用の傘としては今のところ最も軽い76g。なによりも軽さを最優先させたい人向けのシリーズです。フレームはカーボンを使用。広げた時の直径は83㎝とやや小ぶりだが、狭い登山道などでは傘は大きければ良いというものでもありません。お値段も3000円以下とお手頃価格です。
傘のお手入れ
使ったらそのままにしておくと雨を弾かなくなるのでメンテナンスをしましょう。
洗い方は以下の手順です。
↓
・日陰で乾かして水分を残さない
※ドライヤーで温風を当てると尚良い
↓
・防水スプレーでコーティング
まとめ
登山においての傘は使いどころが限定される道具です。ですが山では晴れの予報でも不意に雨に遭遇することもあるので、傘があれば快適に登山を楽しめます。
必需品でないだけに、傘を持つかどうかは各個人の登山に対する考え方に左右されます。