「登山ではこまめな水分補給が大切」
これは登山を始めると何度も耳にする言葉です。
登山用品店のスタッフや登山雑誌、山の情報サイトなどでも繰り返ししつこいほど紹介されています。
だから水分補給が大事ということ自体は多くの人が知っています。
でも、実際に山を歩いてみると、意外とサボりがちになることも。
歩き始める前は今日はちゃんと水分補給しようと思っていても、気付けば1時間近く何も飲んでいなかった……という経験がある人も多いのではないでしょうか。
私自身も登山を始めた頃は飲まなきゃと思っていても、気付けば後回しになってしまうことがよくありました。
その理由は単純です。
飲むのが面倒だから。
「そんな理由?」と思うかもしれませんが、実はこれが意外と大きいんです。
そして、この問題は好きなテイストの飲み物だったり、高価なドリンクを持っていったりしても解決しません。
そういうことじゃないんですね。
本当に大切なのは、
「飲みたいと思った瞬間に飲める状態を作っておくこと」
です。
水分補給で見逃しがちなこと
登山の水分補給について調べると、
「夏は〇L必要」
「標高が高いと脱水しやすい」
「スポーツドリンクがおすすめ」
こんな情報がたくさん出てきます。
もちろん、どれも大切なことです。
でも、登山を始めたばかりの頃は、どうしても「何をどれくらい持っていくか」ばかりに意識が向いてしまいます。
私も最初はそうでした。
「今日は水を2L持ったから大丈夫。」
そんなふうに安心していました。
でも実際に歩いてみると、思っていたほど水を飲んでいないことに気付いたんです。

飲み物はちゃんと持っている。
それなのに、なかなか減らない。
「これだけ残っているなら十分だったな。」
と思っていたら、それは必要な量を持ってきたからではなく、単純に飲んでいなかっただけでした。
今振り返ると、問題は水の量ではありませんでした。
飲みたいと思ったときに、すぐ飲める状態になっていなかったこと。
これが一番の原因だったと思います。
登山では、「どれだけ水を持つか」ももちろん大切です。
でも、それと同じくらい、
「どれだけ気軽に飲めるか」
も重要です。
このことに気付いてから、私は飲み物の収納場所を見直すようになりました。
すると、不思議なくらい自然と水分補給の回数が増えたんです。
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水分補給のタイミングは後回しになりがち
山では平地よりも体を使います。
登りでは息が上がりますし、夏なら大量の汗もかきます。
それなのに、あとで飲めばいいという気持ちが続くと、水分補給のタイミングをどんどん逃してしまいます。
しかも登山では、意外とちょうどいい休憩場所がありません。
関連記事:夏の登山の服装【超初心者向け】
急登が続いていたり、登山道が狭かったりすると、
「ここでは休めないな」
となります。
すると今度は、
「ベンチがあるところまで我慢しよう」
という考えになります。
でも、そのベンチが30分先ということも珍しくありません。

さらに景色がきれいな場所に着くと写真を撮ったり、景色を眺めたりして、また飲み忘れる。
気付けばかなり時間が経っていた、ということもあります。
その間も体は汗をかいています。
だからこそ、「休憩=水分補給」と考えるよりも、
「飲みたいと思ったらすぐ飲める状態」
を作っておくことの方がずっと大切なんです。
関連記事:登山中は面倒くさいことでもサボらない【初心者向け】
喉が渇いてからでは遅いと言われる理由
登山ではよく、
「喉が渇く前に飲みましょう」
と言われます。
最初の頃は、
「いや、喉が渇いたら飲めばいいんじゃないの?」
と思っていました。

普段の生活なら、それで困ることはほとんどありません。
でも山を歩くようになると、この言葉の意味をだんだん思い知らされてきます。
登山中は平地を歩くのとは違って、常に体を動かしています。
関連記事:山は寒いし暑い【超初心者向け】
急な登りでは息が上がりますし、気温がそれほど高くなくても意外と汗をかきます。
「まだ平気」
そう思っていても、体の中では少しずつ水分が失われています。
気持ちは平気かもしれませんが、身体のほうは実はギブアップ寸前の状態かもしれません。
だからこそ、喉が渇いたと感じた頃には、すでに水分が不足し始めていることもあるんです。
もちろん、一口飲み忘れたからといってすぐ危険な状態になるわけではありません。
でも、あとで飲もうを何度も繰り返していると、気付けば1時間以上飲んでいなかったということも珍しくありません。
一度に500mlを一気飲みするよりも、歩きながら100mlずつ何回か飲む方が体への負担も少なく、歩きやすさも違ってきます。
「喉が渇いてから飲む」のではなく、「まだ渇いていないけど少し飲んでおこう。」
このくらいの感覚がちょうどいいと思います。
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飲み物がザックの奥にあると飲む気がなくなる
水分補給を後回しにしてしまう原因は、意志の弱さではありません。
一番の原因は、
飲み物が取り出しにくいこと。
これに尽きます。
初心者の頃は、ペットボトルをザックのメイン収納へ入れている人が多いと思います。
荷物として収納するなら何も問題ありません。
でも、飲もうとすると、ザックを下ろして、ファスナーを開けて、ペットボトルを探して、飲んで、またしまって、ザックを背負い直す。
毎回この流れになります。
一回だけなら何とも思いません。
でも登山では、この一連の動作を何度も繰り返すことになります。
例えば、家でテレビを見ているとき、リモコンが手の届く場所にあれば気軽にチャンネルを変えますよね。
でも、もし毎回立ち上がって別の部屋まで取りに行かなければならないとしたら、どうでしょう。
「まあ、このままでいいか。」
となる人がほとんどだと思います。
実は水分補給も同じです。

飲み物がすぐ手に取れる場所にあれば、一口飲もうかなと気軽に手が伸びます。
反対に、ザックの奥へしまってあるとその一口のために何工程も必要になります。
すると、今は飲まなくてもいいかという気持ちが無意識に生まれてしまうんです。
登山では、この小さなハードルが水分補給の回数を大きく左右します。
だから、水分補給を意識するよりも先に、「飲みやすい状態を作れているか」を見直してみることが大切です。
つまり、水分補給を邪魔しているのは喉ではなく、「面倒な動作」なんですね。
「ちょっと面倒」は登山では大きなストレスになる
登山のような長時間の行動では、小さなストレスがどんどん積み重なります。
なので登山装備を考えるときは、「持っているか」だけではなく、
「すぐ使えるか」
も同じくらい重要です。
飲み物も例外ではありません。
長時間の行動中では、一つひとつは小さなことでも、積み重なると意外と大きなストレスになります。
例えば、
- 帽子を出すのが面倒
- レインウェアを出すのが面倒
- 行動食を取り出すのが面倒
- 飲み物を取り出すのが面倒
どれも一回だけなら大したことではありません。
でも、それが何度も続くと、
「あとでいいか」
という気持ちになってしまいます。
これは登山だけではありません。
家でも、リモコンが遠くにあると面倒になったり、スマホが別の部屋にあると取りに行くのを後回しにしたりすることってありますよね。
登山では、そのちょっと面倒が疲れと一緒になってさらに大きくなります。
だから登山装備を考えるときは、
「持っているか」
だけではなく、
「すぐ使えるか」
という視点もとても大切です。
快適に登山をしている人ほど、この面倒を減らす工夫が本当に上手です。
飲み物は歩きながら取り出せる場所に入れよう
水分補給を忘れないために一番簡単で効果がある方法。
それは、
飲み物を取り出しやすい場所へ入れること。
たったこれだけです。
おすすめなのは、
- ザックのサイドポケット
- ショルダーハーネスに付けるボトルホルダー
- フロントポケットなど手が届く収納
こうした場所なら、ザックを下ろす必要がありません。
「ちょっと喉が渇いたな」
そう思ったら数秒で飲めます。
この数秒が本当に大きいんです。
例えば信号待ちのような感覚で、一口だけ飲んでまた歩き始められます。
一方でザックの中に入っていると、
「立ち止まってザックを下ろして……」
という流れになるので、どうしてもハードルが上がります。
飲みやすい環境を作れば、自然と飲む回数は増えていきます。
実際、ボトルホルダーやハイドレーションを使い始めてから、
「気付いたら前より何倍も飲むようになった。」
という人は少なくありません。
もちろん、それはボトルホルダーやハイドレーション自体が魔法の道具だからではなく、飲むまでの手間が減ったからです。
登山では、「頑張って続ける」よりも、「頑張らなくてもできる仕組み」を作る方が長続きします。
飲み物の収納場所を変えるだけでも、水分補給の習慣は驚くほど変わるはずです。
まとめ
登山では、水分を「たくさん持つこと」と同じくらい、「こまめに飲むこと」が大切です。
そして、こまめに飲むためには意志の強さよりも、飲みやすい環境を作ることが重要になります。
ザックを下ろさずに飲めるだけで、水分補給のハードルはぐっと下がります。
「あとで飲もう。」
その一言を減らすだけで、登山はもっと快適になります。
次の登山では、ぜひ飲み物の収納場所を見直してみてください。
ほんの少しの工夫ですが、その効果は想像以上です。





